はじめに
整体師として多くの方の体と向き合う中で、花粉症や鼻炎に悩む方が年々増えていると感じています。「これは花粉症なのか、それとも鼻炎なのか分からない」という声もよく聞きます。今回は、東洋医学を学んできた私の視点から、これらの症状をどう捉え、どう向き合っていくべきかをお話しします。
花粉症と鼻炎、あなたはどちらですか?
症状の違いを知る
まず大切なのは、自分の症状がどのような特徴を持っているかを観察することです。
温度変化に敏感な鼻炎の場合、暖かい部屋から寒い外へ出た瞬間、あるいはその逆のタイミングで症状が出やすい傾向があります。急激な温度変化が引き金になるのです。
一方、花粉症は特定の季節や時期に症状が現れます。スギ、ヒノキ、イネ科、ブタクサなど、人によって反応する花粉の種類が異なるため、症状が出る時期も人それぞれです。
そして実は、両方の特徴を持っている方も少なくありません。まずは自分の症状がいつ、どのような状況で出るのかを観察してみてください。
東洋医学から見た根本的な考え方
私が施術を通じて実感しているのは、花粉症も鼻炎も、表面的な症状は違っても、体の根本的な状態に共通点があるということです。
体のバランスの乱れ
東洋医学では、体内のバランスが崩れると様々な不調が現れると考えます。鼻の症状も例外ではありません。
長年の臨床経験から、症状が重い方ほど鼻の粘膜の状態に変化が見られます。慢性的に炎症が続いている場合、鼻の内部構造にも変化が生じていることがあり、そうした方は改善に時間を要する傾向があります。逆に、症状が出始めて間もない方は、比較的早く変化を実感されることが多いです。
東洋医学的な「酸化」と「還元」の概念
東洋医学では、体の状態を「陰陽」や「気血水」といった概念で捉えます。現代的な言葉で表現すると、体が「酸化的な状態」に傾いているのか、「還元的な状態」にあるのかという視点です。
慢性的な炎症を抱えている方の多くは、私の見立てでは体が「酸化的な状態」に傾いていると感じています。鼻炎の症状をお持ちの方においても、この傾向が見受けられます。この状態を整えることが、症状改善への一つの道筋だと考えています。
体を温めることの意味
東洋医学では「冷え」を重要視します。私の経験上、症状が強い方の多くは、日常的に体が冷えている傾向があります。
ここで大切なのは、「冷え」とは単に手足が冷たいということだけではないという点です。東洋医学的な視点では、体の内側、特に内臓の状態が体全体の温かさに大きく影響すると考えられています。
内臓と血液の巡りの関係
血液は全身を巡りながら、栄養や酸素を運び、また老廃物を回収しています。この血液が体を一周する過程で、内臓を通過する時間は意外と長いのです。
私の見立てでは、内臓が元気で活発に働いている状態では、血液が内臓を通る際に温かさが保たれ、あるいは温められて全身に届けられていくように感じています。
一方、内臓が疲れていたり、働きが弱っていたりする状態では、血液が内臓を通過する際に十分な温かさが保てず、結果として全身への巡りにも影響が出るのではないかと考えています。
これは、暖房の効いた部屋と冷えた部屋を空気が循環するようなイメージです。中心となる場所の状態が、全体の環境に影響を与えるのです。
だからこそ「温める」ことが大切
湯船にゆっくり浸かって体を芯から温めることは、単なるリラックス以上の意味があると私は考えています。
外側から体を温めることで、内臓の働きもサポートされ、血液の巡りが良くなる。そして巡りが良くなることで、体の各部に栄養や酸素が届きやすくなり、本来持っている回復力が働きやすくなる。このような好循環を生み出すことができるのではないでしょうか。
特に、慢性的な不調を抱えている方ほど、この「温める」という基本を大切にしていただきたいと感じています。
私の施術アプローチ
整体師として、私は手技だけでなく、様々な手法を組み合わせた施術を行っています。
体のバランスを整える多角的なアプローチ
鼻炎や花粉症の方への施術では、以下のような方法を組み合わせています:
- 鼻周辺の経絡やツボへのアプローチ
- 微弱な電気刺激を用いたケア
- 頭部や首周りの筋肉の調整
- 全身のバランスを整える手技
特に、鼻の粘膜の状態を整えることを意識した施術を行うことがあります。先ほど触れた「酸化的な状態」に傾いた体を、本来のバランスの取れた状態に戻していくイメージです。
電気刺激を用いた施術
私の施術の特徴の一つとして、微弱な電気刺激を用いたアプローチがあります。
東洋医学的な考え方では、体のバランスが崩れた状態を整えるために、経絡やツボに働きかけることが有効とされています。電気的な刺激を用いることで、より効果的にこのアプローチができると私は考えています。
特に鼻周辺の施術では、鼻筋や鼻の周囲にある重要なポイントに働きかけることで、粘膜の状態が本来の健康な状態に戻りやすくなるようサポートしています。これは、体のバランスが整うことで、自然治癒力が働きやすくなるという考え方に基づいています。
根本へのアプローチだから、変化は早い
施術の効果には個人差がありますが、私が自信を持ってお伝えしたいのは、多くの方が想像以上に早く変化を実感されるということです。
なぜ変化が早いのか。それは、表面的な症状を抑えるのではなく、不調の根本である体のバランスに直接働きかけるアプローチだからだと考えています。
例えば、症状を一時的に抑える方法では、その効果が切れればまた症状が戻ってきます。しかし、体の根本的なバランスが整い始めると、自然治癒力が動き出し、変化は持続的なものになっていきます。
もちろん、長年症状を抱えてきた方や、鼻の内部構造に変化が見られる方など、完全な改善までには時間がかかるケースもあります。しかし、「朝起きた時の鼻の通りが違う」「くしゃみの回数が減った」といった最初の変化は、多くの場合、数回の施術で実感していただけることが多いです。
定期的に施術を受けながら、日々の生活習慣も見直していくことで、その変化はさらに加速していきます。根本にアプローチするからこそ、他の方法以上に確かで、早い変化が期待できると、私は確信しています。
おわりに
花粉症や鼻炎は、体からの「今のバランスを見直してほしい」というメッセージかもしれません。
症状そのものと向き合うことも大切ですが、その奥にある体全体の状態、そして生活習慣や心の状態にも目を向けてみてください。
東洋医学を学んできた整体師として、私がお伝えしたいのは、体には本来、自ら整う力があるということです。その力を引き出すために、日々の生活を丁寧に整えていく。そして必要に応じて、施術によって体のバランスを整えるサポートを受ける。それが遠回りに見えて、実は最も確実な道なのではないでしょうか。
あなたの体が本来の力を取り戻し、快適な毎日を過ごせるよう、心から願っています。
※この記事は東洋医学を学んできた整体師の視点と経験に基づいた個人的な見解です。症状が重い場合や不安がある場合は、必ず医療機関を受診してください。施術の効果には個人差があり、すべての方に同じ結果をお約束するものではありません。